財務諸表のエクセル版が欲しいとき

XBRLの技術ではないですが、次世代EDINETタクソノミを使って作成されている決算短信の財務諸表をエクセルで開く簡単な方法があるので、ご紹介します。

まず、適時開示情報にアクセスして、必要な決算短信XBRLデータをダウンロードします。

つぎに、ダウンロードしたファイルを解凍して、Attachmentフォルダを開きます。

その中にある、InlineXBRLファイル(ファイル名が「〜-ixbrl.htm」のもの)を、エクセルにドラッグ&ドロップします。

すると、きれいにエクセルで財務諸表を開くことができます。

エクセルすごい。

コーポレート・ガバナンス報告書

こんばんは。

有報の提出ピークと入れ替わるようにコーポレート・ガバナンス報告書が多く出ていますね。日本版スチュワードシップコードもあり、各企業とも同報告書の更新頻度が上がっているのではないかと思いましたので、確認してみました。

東証1部上場企業 約1800社について、コーポレート・ガバナンス報告書を最後に提出してからの経過日数の分布です。各年の基準日は7月7日(七夕)です。
例えば、一番左の青のグラフは、2013年7月7日において、30日以内(2013年6月7日〜2013年7月7日)にコーポレート・ガバナンス報告書を提出している企業が1073社あった、ということを意味しています。

これを見ると、30日以内に更新した企業は1073社から1159社に増加しており、逆に1年以上更新していない企業は57社から47社に減っています。つまり、更新頻度があがっている、といってよさそうです(わずかではありますが)。

ちなみに、1部上場企業の中に4年ほどまったく更新していなかった企業が1社だけあったのですが、それがちょうど本日(2014/7/8)更新されたことがわかりました!!前回の更新は2010年6月、その前はまた4年遡って、2006年5月でした。ワールドカップか?

XBRLを真面目に蒐集すると(ほぼ)自動で作れる(かもしれない)10大一覧リスト

EDINETの有価証券報告書/四半期報告書やTDnetの決算短信にEDINETコードと証券コードの情報があります。ですので頑張って3か月分集めれば全上場企業の一覧が作成できます。(EDINETにある「EDINETコードリスト」をダウンロードするほうが簡単です)

  • IFRS任意適用の企業の一覧

EDINETの有価証券報告書/四半期報告書に会計基準(AccountingStandardsDEI)という要素があり、それを見るとIFRSを任意適用している企業がわかります。

  • SEC基準採用の企業の一覧

IFRSと同じです。最近は新規にSECを採用する話はきかないですね。

  • 四半期配当を実施している企業の一覧

決算短信を見て、1Q/3Qに配当があるか見ればわかります。「例えばどんな会社があるの?」と聞かれたときは、「ホンダ」と答えるようにしています。

  • 内部統制の開示すべき重要な不備がある企業の一覧

内部統制報告書も次世代EDINET(いま現在動いているEDINET)から、XBRLの対象になりました。文章なので単純にフラグ的な分類はできないのですが、言い回しは決まっているので、ほぼ自動的に識別できます。より高い精度を望むのであればナイーブベイズ分類器を使えば完璧に識別できると思います。

  • 継続企業の前提に重要な疑義がある企業の一覧

内部統制と同様、文章(「重要事象等」要素)にタグ付けがしてあり、言い回しが決まっていますので、簡単に識別できます。

有価証券報告書の【コーポレート・ガバナンスの状況等】に記載され、文章にはタグ付けされますが、言い回しや表記が企業によってまちまちなので、名前や金額を自動的に識別するの難しそうです。

  • 委員会設置企業の一覧

いまいちマイナー(個人の感想です)なXBRL文書である「コーポレート・ガバナンス報告書」に記載されています。東証の上場会社情報ページなどからダウンロードできます。分析よりも、東証のサイトからデータを集める作業が大変です。

同上。

  • 上場企業のURL一覧

決算短信に記載されています。



新しくなったXBRLに対して「テキストブロック(文章)でタグ付けされているだけだから、詳細情報が取り出せない」という話をよく聞きます。そうとは限らないですよ。次世代EDINETからインラインXBRLが採用され、提出書類のHTMLが強制的にきれいに整理されましたし、有報などの法定開示書類は様式や言い回しが細かく規定されていますので、うまくやれば自動的に解析できるところは結構多いです。

決算短信タクソノミ(TDnet)の要素リスト

先日、お客様から「X社の決算短信で、来期の予想がIFRSで発表されているのだけど、要素名がわからない」というお問い合わせがありました。

このとき、「XBRL利用者にとって一番基本的で一番必要なのは、やっぱり要素リストだよねー」と思って、東証のサイトのXBRL関連のページをごそごそ探したのですが、どうにも見当たらず。

以上、残念でした、で終わってもしょうがないので、簡単なものだけど作っておきました。

http://tecaweb.net/archives/category/exceladdin
(バージョン2.0.2以降に含まれています)

でもきっとそのうち本気出した東証さんがもっといいものを作ってくれると思います。(チラッ

2014年版EDINETタクソノミが公表されました

今日、金融庁のサイトで2014年版EDINETタクソノミが公表されました。

ところで、2014年版EDINETタクソノミは、次世代EDINETタクソノミの改訂版です。2013年版EDINETタクソノミの改訂版ではありません。

つまり、2013年版EDINETタクソノミは、次世代EDINETタクソノミではありません。

次世代EDINETタクソノミに、「xxxx年版EDINETタクソノミ」という呼び名はありません。バージョン日付は2013年8月ですが、2013年版EDINETタクソノミとは別物です。

2013年版EDINETタクソノミは、2012年版EDINETタクソノミの改訂版です。つまり、旧世代の(いわゆる表示変換方式の)タクソノミの最新版(たぶん、最終版)です。

利益還元が流行の兆し

もう少し最近の業績予想の修正理由を見てみます。

下の表(クリックで拡大)は、昨年10-12月期の業績予想の修正理由ではあまり使われていなかったにも関わらず、今年出された業績予想の修正理由で比較的多く使われている単語です。つまり、最近の流行語です。

“還元”を確認すると、いずれも『株主への利益還元』という文脈で使われています。

つまり、下の例のように、業績予想の修正で、企業が株主への利益還元方針を説明する、というのが一つの流行としてできつつあるようです。

【例:アクセル(6730) 1/28発表】