XBRLの適用範囲を知っておこう

EDINETやTDnetでXBRLの開示が始まってもうすぐ1年になりますが、まだまだXBRLの適用範囲を知らなかったり、誤解している人が多いように思いますので、ここで現時点の適用範囲をまとめておきたいと思います。

まず、XBRLを使っている日本の大きな組織は4つあります。

  1. 日本銀行
  2. 国税庁
  3. 金融庁
  4. 東証

まず、日本銀行は金融機関とのデータの授受にXBRLを使用しています。まぁ、私たち一般人が目にすることはありませんので無視。

次に国税庁国税庁は、e-Taxというオンラインで税務申告をするシステムのデータフォーマットにXBRLを使用しています。納税者はe-Taxを通じて申告データを国税庁に提出し、データは国税庁のデータベースに蓄積されていくようになっています。NTTデータのZaimonというサービスを使うと、e-TaxXBRLデータを金融機関が閲覧できる*1そうです。

日本銀行国税庁のデータは一般人の私たちにはあまり関係ないので、これ以上詳細には触れません。っていうか、知りません。


次に金融庁。いわずと知れたEDINETです。

EDINETでのXBRLの適用範囲は、文書の種類が「4種類+その4種類の訂正文書=8種類」に限定されています。

【文書の種類】
有価証券報告書/訂正有価証券報告書
・半期報告書/訂正半期報告書
・四半期報告書/訂正四半期報告書
・有価証券届出書/訂正有価証券届出書

さらにXBRLが適用されているのは、その8種類の文書のほんの一部「財務諸表(4表)の本表部分」だけです。

【文書中の適用される部分】
財務4表(貸借対照表損益計算書キャッシュフロー計算書、株主資本等変動計算書)の本表部分のみ。

監査報告書はもちろん範囲外。
企業の概況や事業の状況、株式等の状況や設備の状況も範囲外。
財務諸表の注記も適用範囲外。

さらに、現時点では米国会計基準で開示している企業は、対象外とされています。
そのためトヨタキヤノンなど名だたる国際的な企業が対象外となっています。



最後に、東証XBRL適用範囲を説明します。

東証は、適時開示情報サービス(TDnet)で開示される以下の3文書がXBRLで開示されています。

【文書の種類】
 ・決算短信
 ・業績予想の修正
 ・配当予想の修正

決算短信は、冒頭2ページ分くらいのサマリ情報と財務4表がそれぞれ別のXBRLインスタンスとして開示されます。

決算短信には2種類のインスタンスがある】
・サマリ情報
・財務4表

財務4表は、EDINETのタクソノミを使用して作成することになっており、適用範囲もEDINETの財務4表と同じ。そのため、米国会計基準で開示している企業はいまのところXBRLでの開示が免除されています。(サマリ情報はXBRLで開示されてます)


EDINETもTDnetも、今後適用範囲を広げていく方針だとは思いますが、いまいちはっきりしません。具体的にどんな範囲で広がっていくのか、気になるところです。個人的には、まずは財務諸表の注記だけでもXBRLを急ぐべきではないかと思っています。


なお、2009年3月期の本決算の決算短信は、全企業サマリ情報のみで財務4表はXBRLで開示されませんでした。
もうすぐ、6月下旬ごろになるといっせいにEDINETで有価証券報告書が出てきます。楽しみですね。

あ、あと忘れてましたが、各証券取引所がひっそりコーポレートガバナンス(CG)の情報をXBRLで開示されています。
東証コーポレートガバナンスのデータの利用規約に以下のように記述されています。

情報は、利用者ご自身のためにのみ利用するものとし、第三者または情報を閲覧している端末機以外の媒体への提供目的で加工、再利用および再配信することを固く禁じます。また、情報の蓄積、編集および加工等を禁じます(当該行為が発覚した場合、法的措置を講ずることがありますのでご注意ください。)

情報の閲覧者(利用者)が加工しやすいように、というXBRL本来の趣旨をまったく無視した利用規約といわざる得ません。もし関係者の方が見ていたら、是非この利用規約の改定をご検討いただきたいと思います。

*1:もちろん納税者の許可を得た場合のみです