業績予想開示

すでに旧聞に属する話題ですが、東証から『上場会社における業績予想開示の在り方に関する研究会報告書』と、それに基づいた『業績予想開示に関する実務上の取扱いの見直し方針について』という文書が発表されました。→リンク

それによると、日本の業績予想は、諸外国に比べて開示項目が規格化されているため、その規格にこだわり過ぎると、合理的とは言えない業績予想の開示が行われたり、上場会社に必要以上の負担をかけたりするおそれが高い、と問題点を指摘しています。

その上で、望ましい方向性は『経営者自身の合理的な評価や見通し等に基づいて、経営成果に係る直接的な予想が示される規格化された開示の有用性を確認しつつ、上場会社各社の実情に応じて、多様な方法による柔軟な開示を積極的に行い得るようにすること』であるものとして、見直されることになりました。平成24年3月期の決算発表時から、見直し後の運用が行われることとしています。

XBRLに関する言及はなかったので、ここからは推測になります。

いまの業績予想は上記で指摘されているとおり、かなりガチガチに規格化されていて、その分タクソノミもインスタンスも簡単でした。比較分析もしやすいし、システム的にはとてもありがたかったです。しかし、今回の見直しでタクソノミやインスタンスが複雑化し、比較可能性が下がるであろうことが予想されます。システム的にどんな対応をしていくべきか、今後検討していく必要がありそうです。

ところで、この発表で一番気になったのは、以下の点です。

株主、投資者その他の情報利用者に対して、見直し方針の公表とあわせて以下の事項を周知(報道機関等に周知への協力を依頼)

  • 業績予想は、合理的に仮定された条件に基づいて算出されたものであり、その達成を約束する趣旨のもの(経営者によるコミットメント)ではないこと
  • 業績予想は、その後の適切な修正を通じて、事業年度終了後に決算発表が行われるまでの間の期中におけるダイナミックな業績情報の適時開示の実現を意図したものであり、業績の進捗に応じた修正が当然に予定されていること

当たり前でしょ?と思ったのですが、つい2,3日前の日経新聞の記事を読んで納得。やくざみたいなアナリストがいるもんです(保身ばかりの経営者もどうかと思うけど)。今回の見直しでそんなアナリストが悔い改めてくれるとよいですね。