名は体を表さない

XBRLでは、「項目の実体」と「表示上の項目名」は別のものとして定義されます。

表示上の項目名を「ラベル」、ラベルと項目の実体を結び付きを「ラベルリンク」と言います。また項目のことは「エレメント」と言います。ラベルとエレメントを別々に定義することで、エレメントはどのように表示されているか(=ラベルがなにか)に関係なく本質的な概念で集約されます。名は体を表さないのです。

たとえば、「売上高」も「売り上げ高」も「売上げ高」も「Net Sales」も、みんな1つのエレメントです。


このようにすることで、大きく2つのメリットがあります。

1点目は、エレメントの表示名をフレキシブルに切り替えられることです。EDINETやTDnetのXBRLでは、日本語のラベルと英語のラベルが定義されているので、言語の切り替え(日本語 <--> 英語とか)が文字通り機械的にできます。

2点目は、比較が容易になることです。XBRLでは、違う名前であっても同じ概念であれば同一エレメントで定義されます。エレメントはIDで識別しますから、「現金・預金」や「現金および預金」「現金及び預金」「現預金」などのような日本語の“ぶれ”や“業界用語”“慣習”といったコンピュータが扱いにくいものを排除することができます。

これまで、財務諸表を比較するためには、日本語の“ぶれ”や業界特有の用語を考慮する必要がありました。そのため、大規模に財務諸表を分析する際には、商工リサーチや帝国データバンクといった大手の情報ベンダーによって分析しやすいように加工されたデータを購入するのが一般的でした。しかし、XBRLでは同じ概念には同じエレメントが使われますので、分析したい人は直接生のXBRLデータを使って簡単に比較分析できます。るはずでした。


次回へ続きます。