正しさ、その2

昨日の記事の中で、「XBRLには明らかに間違っているものが混じって」いる、と書きましたが、実は今現在開示されているXBRL(ここでは有価証券報告書XBRLについてですが)の正しさというのは実はとても怪しげなものです。

そもそも監督官庁である金融庁はEDINETのトップページ記載されているように、「金融庁・財務局はEDINETに開示している情報について、①開示内容について真実・正確と認定すること(中略)は一切ありませんので、くれぐれもご注意ください。」としていますし、有価証券報告書の監査をする監査法人公認会計士)にしても、XBRLは監査の対象外です。監査の対象はXBRLからEDINETが自動的に作成してくれるHTMLなので、想定どおりのHTMLが作成されていればXBRLがどうであっても関係ないというわけです。

でも僕がここで言いたいのはそんな形式的なことではありません。

僕がここで言っておきたいのは有価証券報告書(というか会計そのもの)の本質的な“あいまいさ”をXBRLが解決してくれるかのような幻想は持ってはいけない、ということです。

昨日のXBRL Japanで配布された資料の中に

XBRLになると各科目は会計的な定義を正確に記載するということになると予想されるが、その場合の「同じ科目」の定義は何になるのか、(中略)利用者はどこまで見て比較可能な同じ科目であると判断してよいのか、議論が必要。

とかありましたけど、そんな予想は幻想(というか妄想)に過ぎませんから。

だいたい、比較可能かどうかは比較したい人がその目的に応じて判断すべきことです。

有価証券報告書の作成には企業会計原則をはじめさまざまなルールに基づいて作成されていますが、そのルールも選択の幅がありますし、全ての企業活動についてルールが決められているわけでもありません。ですから本質的にあいまいなものですし、利用者が自由に解釈してよいのです。

会計寄りな人はその辺はよく知っていると思うのですが、技術とかシステム寄りな人はその辺がわかっていないような気がするんですよね。プログラム言語と違って会計はもっと自由なんですよー。