どっかん

夏休みのシーズンです。夏休みの宿題といえば定番の読書感想文、最近では「どっかん」というそうです。

閑話休題

『通勤大学 図解会計コース4 XBRL』という本を読みました。

XBRLの入門書です。文庫サイズでページ数も少なく、字も大きくて絵が多いので、通勤の電車で読み終わるサイズ。一般的なXBRLのメリットや社会的意義、日本での導入状況(EDINET/TDnet/e-TAX)などが簡単にまとめられていて、XBRLのいまを知るには最適の入門書だと思います。

ただし、技術的な内容は一切触れられていませんので、実際にシステム開発現場でXBRLと格闘しているシステムエンジニアには向きません。というよりも、XBRLのシステムに直接かかわっている技術者からみると、ちょっとアレです。なんていうか、眉がつばでべちょべちょになるという、あの「イラッと感」が味わえます。

曰く、

XBRLを使った財務データは、あらゆるシステムやソフトでデータ交換をすることが可能になっています。(24ページ)

XBRLを(シンタックスレベルで)解釈できるということと、それをシステムで使用するデータとして取り込むことではまったく異なるレベルの解釈が必要です。プロトコルのレベル(階層)が違うのです。

曰く、

XBRL最大のメリットは、財務諸表の数字を、データの状態のままでそのまま交換できることです。(41ページ)

「データの状態」ってなんですか?PDFでもCSVでも、そのままメールに添付して交換できますよ?冊子だって郵送するか直接手渡しすれば交換できますが何か?


XBRLのメリットが述べられるときに、そのメリットは何と比較したときのメリットなのかが重要ですよね。この本でXBRLのメリットとして述べられているのは、「紙の有報」と比較した「電子開示」のメリットであったり、「システム連携していない状態」に対する「システム連携できた状態」のメリットです。いずれの場合も、XBRLでなくてもよいものです。

XBRLのメリットとして語られるべきは、そのXBRLでなくてもよいなにかと比べてどうなのよ?ということではないでしょうか。たとえば、CSVと比べてどうなんだ、と。

実際、『どうせRDBに入れるかEXCELで読み込むんだからCSVで十分。むしろ専門ソフトがいらない分、CSVのほうがよい。XBRLなんて無駄に難しいだけ』というのが現場の本音じゃないかと思うんですけど、いかがですかね?