誰のためのXBRL GLなのか

先日XBRL Japanの会員・準会員向けのミニセミナーに参加してきました。テーマは「XBRL GLについて」でした。

講演者の鈴木さん(富士通)の話によると、XBRL GLというのは、事業活動に伴う内部報告データを、異なるシステムやアプリケーション間でやり取りするための共通のデータ仕様であり、XBRL GLを採用するメリットとして以下の3点が挙げられていました。

  1. XML技術に基づいているため、タグ付けにより詳細な企業取引情報を表現できる
  2. 標準的なデータ仕様を提供しているため、多様な業務システムの情報を共通の表現に変換である
  3. 共通のフォーマットを採用することで、システム間の電文が減らせる


話自体は面白かったのですが、どうにもXBRL GLの普及は難しい(時間がかかる)のではないでしょうか。

XBRL FRは、EDINETやTDnetが義務化したので、各企業は否が応でもやるしかないわけです。でもXBRL GLは違います。内部報告用であり、採用する義務はまったくありません。*1そのため、現在のシステムを修正してまでXBRL GLを採用することはないでしょう。

システムを1から作り直すような場合に採用されるかもしれません。しかし、システム間通信をしている2つのシステムがあった場合、一方を作り直すからと言って、そのシステム間のデータフォーマットをまったく違うものに変更することはあまりないと思います。

単純な固定長で正常に処理できている電文を、わざわざシステムをいじって複雑なXBRL GLにするメリットが本当にあるのか、XBRL GLを提案する側はもっと真剣に考えるべきです。

*1:どこかのブログでXBRL GLが採用されると監査情報などが出てしまうので丸裸になって困るのでは、みたいなことが書かれている記事がありましたが、そもそも嫌ならXBRL GLを使わなければよいだけのことです。