やっかいなもの。それは「表示情報ファイル」。

EDINETの提出者である各企業は、原則として*1財務諸表部分をXBRLで提出し、財務諸表以外の部分をHTMLで提出しています。EDINETは、財務諸表部分以外のHTMLと、提出された財務諸表のXBRLをHTMLに変換したものをガッチャンコして、有価証券報告書等として開示されています。

ここでポイントは、EDINETがXBRLを財務諸表部分のHTMLに変換している、ということです。

ところで、HTML(PDFでもよいのですが)の財務諸表部分はXBRLから自動的に作れるものなのでしょうか?財務諸表部分を見てみると、一見簡単そうに思えます。科目の並びは表示リンクをたどればよいですし、科目名は名称リンク、各表の列のコンテキストや表示リンク拡張リンクロールは、XBRL文書情報を見ればわかります。もちろん、金額はインスタンスに定義されています。

ですが、実は財務諸表HTMLを作るためにはXBRLだけでは情報が足りません。

例えば、連結BSの列ヘッダには「前連結会計年度(平成20年3月31日)」のように記述されていたり「平成19年度(平成20年3月31日)」のように記述されていたりします。XBRLのコンテキストには2009/3/31という情報は取得できますが、それを日本語でどのようにヘッダを設定すればよいかはXBRLでは定義されていません。

同様に、各表の右肩には「単位:千円」とか「単位:百万円」などと記述されています。これも、XBRLでは各アイテムのインスタンスの精度(decimals属性)は定義されているものの、表自体の精度は定義されていませんし、それを日本語でどのように記述すればよいかはXBRLでは定義されていません。

このように、EDINETがXBRLから財務諸表HTMLに自動で変換するのに、XBRLでは不足した情報を補っているのが「表示情報ファイル」と呼ばれるものです。EDINETのXBRLをダウンロードすると、*-information.xmlというファイルが同梱されています。一見リンクベースのように見えて気が付きにくいのですが、それが表示情報ファイルです。

繰り返しになりますが、EDINETは、XBRLと表示情報ファイルをもとに財務諸表のHTMLを作成しています。

このことがやっかいな、そして現在でも解決していない大きな問題の原因になってしまったというのは、EDINETのシステム設計担当も誤算だったのではないでしょうか。

次回に続きます

*1:例外として、SEC基準で開示している企業は現時点ではXBRLの提出義務がありません